18世紀から19世紀にかけて起こったイギリス発進の欧米諸国における第一次産業革命以来、まず製造業で、蒸気の圧力によって人力に代わる機械が普及して、資本主義が欧米諸国、引き続き日本で経済が発展した。
しかし、その機械のおかげで石炭のばい煙などの公害が起こり、また、農村から都市に集められた労働者に対する過酷な労働がはじまり、健康被害や都市貧困者を配収して舎監問題となり、さらには、巨大資本同士の過剰な競争の結果として独占資本による労働力の搾取が過激となり、マルクスの社会主義が叫ばれて、ついにロシア革命が起こった。

一方、米国をはじめとする先進国は社会革命を恐れそれを防止する意味で、社会政策すなわち、雇用増進のための金融と財政政策、労働条件の改善、独占禁止法、社旗政策の極めという社会保険の充実を図った結果、共産主義諸国との競争に勝ち、ソ連邦は崩壊し、中国も共産主義を国是としながらも、経済は自由主義に転換していった。
その間、石炭から石油、電気を動力(内燃機関)として、次の第二次産業革命を担ったのである(19世紀末~20世紀後半)

さらに、20世紀後半にいたり、半導体などの動作の制御、さらには人間の計算の代わりをする、マイクロ・エレクトロニックスとそれを制御するソフトウェアの開発と発展が、第三次産業革命へとつながっていった。

その影響を受けて第一次産業(農水林産業、鉱業)も飛躍的に生産性を向上し、第二次産業の工業はさらに飛躍的して、今までの人間の労働力の大部分を改善して、人間生活に余裕が出来たことにより、種々のサービス業が創造されて、GDPに占める割合が先進国で70%に達し、もはやサービスを抜きにしては、経済の発展は考えられないという状態になってきたのである。

この間、それぞれの産業革命をリードしていった代表的な企業は、第一次では、米国の鉄道会社やUSスティール(現USX)であり、第二次産業革命では、ロックフェラー傘下の石油会社(現エクソンモービル)ゼネラルエレクトリック(GE),ジェネラルモーターズ(GM),そして、(石油)化学会社(モンサント、デユポン、独バイエル)であった。
また、第三次マイクロエレクトロニクスとソフトウェアのけん引力はインテルとIBMであった。
だが、第三次サービス産業はその生産性は事務部門に偏り、サービスのメニューが増えるごとに、ラストワンマイルと言われる人力でのサービスが増大したのである。

例えば不法労働で摘発された電通をとってみると、電通は広告のスポンサーが客先であるが、激烈なる競争相手との販売競争に打ち勝つために、広告のコピーがいつもぎりぎりまで検討されて、電通に持ち込むべき仕事は翌日の深夜または明け方に漸く電通に回り、それまで待機していた電通社員はそれからの作業となり、翌日はすぐに営業活動に入り、深夜労働残業時間は一か月200時間を超える場合もあったのである。
この積み重ねが、ついに死者を出すまでに至った。

一方、宅配便サービスは、客先や配達元(荷主)の便宜のために末端の配達人に皺が寄せられ、旧来の郵便局や日通ではここまでの小回りが利かなく、この競争に取り残された。
この激烈なる競争はヤマト運輸と佐川急便の一騎打ちとなり、ついに、ネット販売会社のアマゾンが要求する当日配送で価格競争で勝ったのはヤマト運輸ではあったが、続々と過剰労働の実態が現れて、配達人の疲労は極に達し、逆に退職者が急増しアマゾンの要求を拒否する事態となった。

しかしながら、巨人アマゾンはあきらめない!
即日配達を遂行するために中小の運送業者を糾合して共通の配達網を作る体制を整えつつある。郵便局や日通などを蹴落として業界の覇者となったヤマトと佐川は、アマゾンという新しい流通革命の下で衰退するかもしれないのである。

つまりアマゾンは、
①まず、書籍を販売するための電子取引のシステムを開発した。
②それだけでは取次業務なので利用幅が少なく、出版元からは本屋などの抵抗により取引きを拒否される場合がある。それでは、買い取りや委託販売にして、大量に在庫を持とうとして、巨大な物流倉庫を建設した(自動倉庫)この間全く収益は上がっていなく、巨額の赤字の計上であった。
しかし、株主はそのコンセプトと経営者に未来を託し、赤字でありながら資金は(借入金でなく資本)は次々と集まった。これが日本とアメリカの投資家の違いだ。日本は過去の実績に投資するが米国は将来のキャッシュフローに投資する!
③さらに、やはり配達まで抑えなければならないと配送センターからの消費者に対する配達にも、大手の宅配便と組んでさらに規模を拡大した。日本でも佐川やヤマトを使って消費者に販売していたのであるが、
④さらに即日配達で消費者をさらに掴もうという野望に燃えて、ヤマトや佐川に要求を出し、激烈なる価格競争のすえに、ヤマトに大きな労働問題をもたらしたのである。

さて、電通、ヤマト、佐川に共通するなやみは、客先の事情によるあくなき要求だ。
まず、電通もヤマトも佐川も働き方と取引条件の改善に着手した。
電通は広告主からの要求条件の緩和を行うべく動きだしたが、競争相手の博報堂や大広などがその隙を狙う場合がある。だから、広告主の方も業者の労働条件を考えて早めに広告のコピーを渡さなければならない。これは取引の公正を期すためにも必要だ。場合によっては公正取引委員会の介入も必要だろう。

一方のヤマトは、とりあえず、アマゾンとの関係を断ち切ったが、佐川は週休3日制をうちだし、兼業も認める方針をうちだした。これに対してヤマトも同じ方式を検討中だ。
一方すき屋やワタミなどの深夜過剰労働に対しては、ブラック企業として2チャンネルに書き込みがなされて以来、景気の急回復とともに、労働の需給関係が労働者側に有利になったために、産業予備軍としての景気と雇用のクッションとなっていた飲食店の労働供給のひっ迫と相まって、急きょ労働条件の改善に動き出したのはまことに喜ばしいことだ。商品販売店、例えばユニクロにおいても労働がひっぱくしており、同じような労働条件の改善が叫ばれ、いずれの業界でも派遣やアルバイトを正社員に変更する企業も急増している。

これは非常に良いことだ。給料と労働環境の改善による、国民の生活の質の向上が望まれる。

それと共に静かに忍び寄るのは、第四次産業革命、即ち人工知能(AI)による肉体と知能の両面での労働方法に、画期的な変革が起こりつつあることだ。これを称して、人工知能による第四次産業革命目下進行中といっておこう。

人工知能問題は、卑近な例では将棋の世界では人口頭脳が人間を制した。セキュリティの面でも人工知能が活躍を始めた。医療や介護のシステムもしかり、交通機関の導入も始まった。とくに無人運転が近づいている。
機械やシステムの故障の予知機能も進んでいる。法律訴訟、会計監査面や特許申請も同じだ。
一方販売面でも大規模店ですでに導入が始まっている。翻訳も同じ、電話での受付、会社の受付にも可能性がある。教育にはもってこいの技術である。
すべてが人間の代わりをする、最後に人間だけができることは、恋愛とセックスだという人もいる。

その弊害や社会変動、社会制度、働き方と遊び方の組み合わせ、いろいろと社会は変動する。
それに対して、人間の順応ができるかどうか?
労働からはじき出された人々にどのような生活の保障をし、人生の意義を与えるか?
今こそ、人文科学の画期的な進歩が必要だ!

株式会社網屋 監査役 山口 敏治