私は音楽演奏会にはあまり興味はないが、それ以外のものは非常に興味があり、特にオペラ、京劇、ミュージカルの外国もの、日本物では歌舞伎と演劇はよく見に行く。映画も同じだ。
とくに、歴史ものや悲恋物語が好きだ。もともと学生時代から、シェークスピアと聖書を特に好んで学んだためにだ(キリスト教徒ではない)。

昔はロンドンに行くたびに、夜バービカンセンターでシェークスピア劇を本場のRSC(ロイヤル・シェークスピア・カンパニー)に属する俳優演じる劇をみたものである。
また、京劇は特に、覇王別姫、つまり項羽の愛妾の悲劇と最後の別れの舞と歌(詩)、何回見ても感激を新たにする。

ミュージカルはNYではよく見たが、やはり「レ・ミゼラブル」が好きだ。歌舞伎は「忠臣蔵」ではなく、弁慶の「勧進帳」が大好きで、昨年はボケ防止のために3-4か月かけて、全セリフの暗唱朗読を成し遂げた。その他、長恨歌、平家物語「大原御幸」、シェークピアのジュリアスシーザーのブルータスとアントニオの演説も全文暗唱した。

やはり名文と名詩、名セリフの暗誦は韻を踏み、流れるような文章で覚えやすく、朗読するのに気持ちがよいし、役者になったつもりで、精神衛生上極めて良い。
癒される感じだ。今は、ぼけ防止のために、毎朝食後2、30分も歩き坂を下り登って、代官山蔦屋のスターバックスの美しい乙女が特別に入れてくれるコーヒーを飲む。帰りも歩く。
あるいは渋谷まで買い物がてらに歩く。

さて、先週土曜封切りの映画「昼顔」を観に行った。初回公演は朝09:35だ。こんなものは封切り初回公演に限る。
いつもは日比谷の映画館に行くが、今回は地元渋谷で見た。日比谷では、終わったころに主演以下が集まり感謝の言葉がある。

私は上戸彩の大ファンだ、その上戸彩が人妻ながら妻ある男とダブル不倫をする。
連続テレビドラマは見ていないが、この映画は、その連続ドラマのあとの完結編だ。

前回までの不倫が発覚して、誓約書をかかされた。すなわち、二度と会わないと約束させられ、遠くに引っ越した。結局夫とは別れて、ある地方の海岸で働く身となった。
一方の不倫相手の男は、妻とは離婚せずに暮らしていた。

然しある日、上戸彩の不倫相手は高校教師から大学の講師となり蛍の研究をしていた。そのホタルの研究場所で再会を果たした。驚きと共に恋の思いが募るが、契約書の条件を守り独り言を言いながら会っているうちに燃え上がり再び関係を持つ。
それが相手の妻に悟られて、その妻はもう諦めた振りをして離婚の判を押すが、その直後、夫を車に乗せて故意に交通事故を起こして、夫は死亡した。

女の執念を感じる瞬間だった。

それを聞いた上戸彩は、悲嘆にくれ、泣き盡す。涙も出ない状況になり、自宅の近くにたどり着き、線路の上で崩れ落ちる、電車がやってくる。
この時、私はトルストイの名作「アンナカレーニナ」の映画(1948年公演)の最後のシーンを思い出した。

機関車は蒸気を噴き上げ、警笛を鳴らしつつ近づく。アンナは不倫の末故郷から追い出され、不倫相手も死亡して、絶望の淵に陥り、汽車に向かって線路を歩く!
そこで、ドラマは終わる。その光景を思い出しながら、思わず主人公になったつもりで、私も興奮の極みだ。

この後を解説すると怒られるし、せっかく、見に行こうと思われている読者の邪魔をするので、この辺で私の解説は終わりにしたい。

ただ、この映画で、計り知れない女性の嫉妬、恨みのほどをまざまざと改めて感じ、恐れ、共鳴、反省すること、しかしながら、それが女性のかわゆい一面だ!
これに世の男は惚れてゆくのだと、今更ながら、思いを新たにして劇場を離れたのである。

株式会社網屋 監査役 山口 敏治

<この情報の発信者>
株式会社網屋 マーケティング本部
東京都中央区日本橋浜町3-3-2 トルナーレ日本橋浜町11F
https://www.amiya.co.jp